暮らしの保健室で大事にしていること


距離感、居心地、軸

毎日の生活のちょっとした困りごとや病気についての悩みをざっくばらんに話せたり相談できたりするところ、それが「暮らしの保健室」。

元々は、訪問看護師の秋山正子さん(株式会社ケアーズ・白十字訪問看護ステーション代表取締役所長、マギーズ東京共同代表)が、イギリスのmaggie’s をモデルに始めた活動です。
活動趣旨に賛同する医療介護福祉職が自分たちの地域でも始め、いまでは日本全国50か所以上の活動拠点がある。地域・運営主体により、活動内容はすこしずつ異なる特徴をもっているのです。

「暮らしの保健室」の役割や機能は、公表されているのですが、ここでは保健室という場に思うことを綴ります。

プラスケアで暮らしの保健室をできることになったのは、本当にご縁という他ない。地元大好きである知人のおじさまから「川崎で面白いことを始める医療者がいるんだよ」と教えてもらったのが、一般社団法人プラスケアの看護師採用説明会。

その時はまだ、川崎に住んでおらず、「元住吉!大きな商店街のあるところだ」ぐらいの知識でしたね(知識が少なすぎる・・・)。

説明会の詳しい内容は覚えていないけど、暮らしの保健室に自分が携われるかもしれないということに興奮してましたね。

秋山さんが暮らしの保健室を始めた年に聞いた講演では、サインをもらった本を片手に「私にもできる日が来るのでしょうか?」と大それたことを質問した覚えがあります。

暮らしの保健室のなにがそんなに私を惹き付けるのだろう…。

今もうまく言葉にできていないけれど、専門家然としてではなく「となりの人」「ふつうのおばさん」(と秋山さんは話していた)としてその人に向かう姿勢なのではないかと思う。

人によっては、肩書を伝えた方が安心して話ができることもある。看護師の守秘義務は医療倫理的・法律的な基本だから、ということもある。(と、思う。でも「話してもいいかな」と思えるのは機能だけではない)

「看護師です」と名乗り、目の前にいる人が困惑する状況に陥っている背景やその人なりの根拠を知ろうとする姿勢、わずかな言葉や表情、語り口のちがいからわかるその人が苦悩の裏返しに大切に思うものや希望といった心の向きを丁寧にみる。そしてその人がこれまで生きてきた力と根拠から出来ることを探していく。

言葉としては「引き出す」ことになるのだろうけど、そう言うとなんだかおこがましいなぁと思う。私は一時のきっかけでしかない。
生きていくのはその人自身で、私はその人の「道」を信頼関係によって共有してもらえている立場。

その信頼はどこからくるのだろう。当たり前ではない。


なんのために、生きていきたいかな。なにが心を動かすかな?
そのための、支援であり、医療であり、制度。

ここで解決できることはもしかして少ないのかもしれない。でも、頭でわかっていたような気持になっていることを、頭から離れないことを口に出して話してみると、向いている方向がどこであったかを自覚できる。それは自分の軸を立てて生きるために大事なことだと思う。

だから、ここに居ることは意味があると思って活動を続けている。

もっと改善できるところがあるのでは?試行錯誤を繰り返しながらもうすぐ4年がたとうとしている。

まだまだ未熟で言葉の長い自分だけれども、その考えに共感する、と協力してくれる人たちが居る。自由にさせてくれる法人のメンバーも居る。
本当にうれしく心強いことです。

会う人に対していつも真剣に、でも深刻にならずに耳を傾けたい。
ちょっと軸を整えるお手伝いをこれからもしたいのです。

※ プラスケアの暮らしの保健室は新型コロナウイルスの感染予防対策をし、一部予約制で開催中。くわしくはプラスケアのホームページをご覧ください。